外科
特色
当院では、消化器領域疾患を中心に、胆石・ヘルニアなどを含め、年間600~700件ほどの手術を実施しており、地域基幹病院として緊急手術の割合が高いのも特色です。また、総合病院である当院では、循環器内科、透析などを担う腎臓内科の医師も充実しており、これら心臓病や腎臓病を患った患者様の手術にもスタッフ一同協力して治療にあたっております。
また、「地域がん診療連携拠点病院」の指定を受け、地域におけるがん診療の充実と、連携、支援の推進にも重点を置いて診療を行っております。
そして、がん終末期における緩和治療に関しては、緩和ケア科の介入と共に緩和ケアチームを設け、主治医のみでなくチームとして患者様をサポートする体制作りを行うなど、患者様のご期待に応えられるよう努めております。
又、2023年初頭から、手術支援ロボットda Vinci Xiを用いた手術を開始いたしました。現在は胃がんの手術において適応となる患者様の病態や安全性を十分考慮した上で行っております。
外科で担当する主な疾患
消化器疾患
1. 上部消化管(食道、胃、十二指腸、小腸)
手術対象疾患
悪性疾患 | 食道癌、胃癌、その他肉腫、GISTなど |
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良性疾患 | 胃潰瘍、十二指腸潰瘍、(穿孔、出血)、腸閉塞 |
2. 下部消化管(大腸、肛門)
手術対象疾患
悪性疾患 | 大腸癌(結腸癌、直腸癌)など |
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良性疾患 | 虫垂炎、憩室炎(穿孔、出血)、腸閉塞、炎症性腸疾患など |
※現在、痔疾患の手術は行っておりません。
3. 肝胆膵脾
手術対象疾患
悪性疾患 | 肝臓癌(原発性、転移性)、胆嚢癌、胆管癌、膵癌など |
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良性疾患 | 胆石症、胆嚢ポリープ、膵良性腫瘍、慢性膵炎、脾疾病など |
肝胆膵領域疾患は、肝硬変、閉鎖性黄疸、膵炎などの合併症を伴うことが多く、術前の診断、処置に専門的知識、技量を要します。当外科にはこうしたスタッフが複数おり、肝切除、膵頭十二指腸切除など、難易度の高い手術を含め総合的な治療を行います。肝癌(肝細胞癌)で高度肝硬変・肝機能障害を有する症例には、手術以外の肝動脈内制癌剤注入(TAI)や肝動脈塞栓術(TAE)など血管内カテーテルを用いた治療を行っています。
また、膵頭十二指腸切除術では、独自の吻合、再建法を開発し良好な成績を上げております(*)。この領域の良性疾患として最も多い胆石症は、9割以上が低侵襲で入院期間も短い腹腔鏡下胆嚢摘出術で行われております。
*Two stitches by four(2 by 4)膵管空腸吻合とPPPDにおける膵空腸分離再建法(PPPD-IPJR) 日本肝胆膵外科学会総会 2008年5月
甲状腺
1. 甲状腺
対象疾患
悪性疾患 | — |
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良性疾患 | 甲状腺良性腫瘍、甲状腺線種など |
※手術は病状をふまえ、要相談となります。
ヘルニア・その他
1.ヘルニア
手術対象疾患
鼠径ヘルニア、大腿ヘルニア、臍ヘルニア、腹壁瘢痕ヘルニアなど
中高年の特に男性に多い疾患の一つに鼠径ヘルニアがあります。これは本来腹腔内に収まっている腸が弱くなった鼠蹊部の通路に脱出するものでいわゆる脱腸であり、手術的療法以外での根治は望めません。ヘルニアの手術術式は、ここ10数年の間に大きく変りました。当院では、人工的パッチを用いた最新のクーゲル・パッチ法による根治術を行い良好な成績を得ています。
2. その他
手術対象疾患
外傷性内臓損傷、出血など
化学療法(抗がん剤治療)
近年種々のがんに対する新規抗癌剤が多く開発され、癌治療における化学療法の役割はますます大きくなっています。外科では手術以外の治療法としてはもちろん、術前の抗癌剤治療により癌を小さくして切除を行ったり、術後に補助療法として抗癌剤を投与し、再発を防止するなどの治療を、それぞれの癌に応じ基本的にはガイドラインに沿う形で積極的に行っています。外来化学療法室を利用した定期的治療も積極的に実施しております。
がん緩和医療
がんの治療をしていく上で、癌自体への治療の他、がんに伴う痛みや苦痛を和らげる緩和治療は、患者様の生活の質(QOL)を保つ上でとても大切です。がん患者様を担当することの多い外科では、治療の比較的早期から緩和ケア外科の介入や緩和ケアチームと共に痛みや苦痛の改善に努めています。
- 看護師による「がん看護相談」もご利用ください。
治療実績
外科全手術件数(令和5年度)
647件
がん治療実績(令和5年度)
食道がん | 6件 |
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胃がん | 58件(うち腹腔鏡手術 5件、ロボット支援下手術 21件) |
大腸がん | 131件(うち腹腔鏡手術 47件) ・結腸がん 85件(うち腹腔鏡手術 27件) ・直腸がん 46件(うち腹腔鏡手術 20件) |
肝臓がん | 15件(うち原発性肝がん 3件、転移性肝がん 7件、肝内胆管がん 1件、肝門部胆管がん 3件、のう胞腺癌 1件) |
膵臓がん | 22件 |
胆道がん (胆のう、胆管) |
5件(胆のうがん 1件、胆管がん 3件、十二指腸乳頭部癌 1件) |
手術前後での抗がん剤治療件数
食道がん | 3件(手術前2件、手術後0件、手術前後1件) |
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胃がん | 22件 ・手術前抗がん剤治療 1件 ・手術後抗がん剤治療 20件 ・手術前・後抗がん剤治療 1件 |
大腸がん | 42件 ・手術前抗がん剤治療 1件 ・手術後抗がん剤治療 40件 ・手術前・後抗がん剤治療 1件 |
外科における抗がん剤治療件数
外来抗がん剤治療 | 年間延べ 897件 |
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入院抗がん剤治療 | 年間延べ 260件 |
肝臓がんに対する血管治療
肝動脈動注・塞栓療法 |
16件 |
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がん以外の主な手術実績(令和5年度)
胆のう摘出術 | 116件(うち腹腔鏡下手術 109件) |
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ソケイヘルニア手術 | 122件 |
虫垂炎手術 | 41件 |
その他腸閉塞、腹膜炎手術など | 80件 |
担当医の紹介
氏名 | 職名 | 専門医・認定医等 |
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伊藤 博 | 院長 | 日本外科学会外科認定医 日本外科学会外科専門医 日本外科学会外科指導医 日本肝臓学会認定肝臓専門医 日本肝臓学会肝臓指導医 日本肝胆膵外科学会名誉指導医 日本消化器外科学会消化器がん外科治療認定医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 日本消化器外科学会消化器外科専門医 日本消化器外科学会消化器外科指導医 日本消化器病学会認定消化器病専門医 日本臨床腫瘍学会暫定指導医 身体障害者福祉法第15条指定医(肝臓機能障害) 臨床研修指導医 緩和ケア研修会修了 難病指定医 肝炎医療研修会受講 医師臨床研修制度・研修管理委員会・委員長研修修了 プログラム責任者養成講習会修了 地域医療構想の実現に向けた病院管理者研修修了 |
石川 文彦 | 副院長 | 日本外科学会外科専門医 日本外科学会外科指導医 日本大腸肛門病学会専門医 日本大腸肛門病学会指導医 日本消化器外科学会消化器外科専門医 日本消化器外科学会消化器外科指導医 日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医 日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡指導医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 日本医師会認定産業医 日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会ストーマ認定士 日本ストーマ・排泄リハビリテーション学会評議員 身体障害者福祉法第15条指定医(ぼうこう又は直腸機能障害、小腸機能障害) 臨床研修指導医 緩和ケア研修会修了 日本臨床外科学会評議員 日本大腸肛門病学会評議員 難病指定医 プログラム責任者養成講習会修了 診療情報管理士 |
新田 宙 | 部長 | 日本肝胆膵外科学会高度技能指導医 日本内視鏡外科学会技術認定医 日本外科学会外科専門医 日本外科学会外科指導医 日本消化器外科学会消化器外科専門医 日本消化器外科学会消化器外科指導医 日本消化器外科学会消化器がん外科治療認定医 日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医 日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡指導医 日本食道学会食道科認定医 日本静脈経腸栄養学会TNT研修修了 日本肝胆膵外科学会評議員 日本体育協会公認スポーツドクター 死体解剖資格 臨床研修指導医 |
藤田 昌久 | 部長 | 日本外科学会外科専門医 日本外科学会外科指導医 日本消化器外科学会消化器外科専門医 日本消化器外科学会消化器外科指導医 日本大腸肛門病学会専門医 日本大腸肛門病学会指導医 日本がん治療認定医機構がん治療認定医 日本消化器外科学会消化器がん外科治療認定医 身体障害者福祉法第15条指定医(ぼうこう又は直腸機能障害、小腸機能障害) 臨床研修指導医 緩和ケア研修会修了 難病指定医 |
釜田 茂幸 | 部長 | 日本外科学会外科専門医 日本外科学会外科指導医 日本消化器外科学会消化器外科専門医 日本消化器外科学会消化器外科指導医 日本大腸肛門病学会専門医 日本大腸肛門病学会指導医 日本消化器外科学会消化器がん外科治療認定医 日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡専門医 日本消化器内視鏡学会消化器内視鏡指導医 日本静脈経腸栄養学会TNT研修修了 身体障害者福祉法第15条指定医(ぼうこう又は直腸機能障害) 臨床研修指導医 緩和ケア研修会修了 がんのリハビリテーション研修修了 難病指定医 |
島﨑 怜理 | 医師 | 緩和ケア研修会修了 |
大沼 愛 | 医師 | 緩和ケア研修会修了 |
石井 美凪 | 嘱託医師 | 緩和ケア研修会 修了 |
関連リンク
- 大腸憩室炎の臨床的検討 (PDF:111.93KB)