臨床工学技術課
臨床工学技士とは
今日の高度医療には、医療機器なくして成立しません。そのため、医療機器を専門的に取り扱う資格が1988年に制定されました。それが臨床工学技士(ME:Medical Engineer)です。
臨床工学技士は医師の指示のもと、生命維持管理装置の操作及び保守点検を行うことを業務としています。当院においては、2006年に医療技術部・臨床工学技術課として新設され、2022年現在14名が在籍しています。
埼玉県北部の基幹病院である当院では、関与する分野が多岐にわたり、主な業務として血液浄化業務、心・血管カテーテル業務、人工心肺業務、内視鏡関連業務及び医療機器保守管理業務があり、安全かつ円滑な業務の遂行を目標としています。
血液浄化業務
血液浄化療法室では、血液透析(HD)や血液濾過透析(online-HDF)を中心に、12床体制で透析療法を実施しています。
業務内容は、透析回路のプライミングから穿刺・回路接続、透析施行中の監視、返血操作及び止血等を行っています。
また多様な疾患に対応すべく、顆粒球吸着療法(GCAP)、血漿交換(PE)、血漿吸着(PP)、腹水濾過濃縮再静注法(CART)、持続的血液濾過透析(CHDF)や血液吸着(PMX、DHP)等、幅広い特殊血液浄化療法に対応しています。
また、内シャント管理の一環として、経皮的シャント拡張術(VAIVT)に関与しており、シャントの病態及びデバイスの知識に精通した技士が、清潔野において医師の介助業務を行っています。
心・血管カテーテル業務
冠動脈造影(CAG)やインターベーション(PCI/EVT)、ペースメーカインプラント(PMI)における、ポリグラフ(生体モニタ)や血管内エコー(IVUS)、デバルキングデバイス(rota/DCA/OAS)、ペースメーカプログラマ及び補助循環装置(TPM。IABP・PCPS)のセットアップ及び操作をしています。
CAGやEVTでは清潔野介助に関与しており、透視装置の操作やデバイスのセットアップを行っています。
臨床工学技士としての工学的知識をもとに機器を取り扱い、医学的知識をもとに治療に関わることで、医療現場における重要な役割を担っています。
また、重症患者に対する補助循環装置にも安全性を確保すべく、積極的に介入しています。
ペースメーカ外来では、定期的な動作チェックを施行し、異常の早期発見・対処に努めています。
人工心肺業務
手術室での開心術における人工心肺装置、心筋保護液注入装置及び血液回収洗浄装置のセットアップ及び操作を行っています。
心臓・大血管手術では、一時的に心臓と肺の機能を停止させる必要があります。そのため臨床工学技士が人工心肺装置を用いて心臓と肺の機能を代行し、全身血液循環及びガス交換を行っています。
スムーズな手術の進行に貢献できるよう、臨床工学技士が2名以上で携わり、細心の注意を払いながら安全な運転をしています。
また、手術後には帰室搬送に同行し、様々な医療機器を管理して術後のサポートをしています。
内視鏡業務
2016年3月より関与を開始した、当科としては新しい分野です。
業務内容は、消化器内視鏡における内視鏡的粘膜切除術(EMR)、内視鏡的粘膜下層剥離術(ESD)、内視鏡的逆行性胆道膵管造影(ERCP)など、専門的な内視鏡的治療を行っており、臨床工学技士がそれぞれの治療の介助に入り、高周波装置や処置具の操作などを行います。
また、トラブルを未然に防ぐため、スコープ及び光源装置の保守管理を行っています。
医療機器保守管理業務
各分野の主要な機器の他、人工呼吸器、麻酔器、電気メス、除細動器、保育器、輸液・シリンジポンプ、生体情報モニター等、多岐に渡る医療機器を、常にベストなコンディションで患者さまに提供できるよう、保守・点検・修理・操作を行っています。
人工呼吸器や輸液・シリンジ・経腸ポンプ及びネブライザなどは、MEセンターにて中央管理されており、適時終業点検や定期点検を施行し、必要時にはいつでも提供できるようにしています。
また、人工呼吸器や補助循環装置などクリティカルな機器に関しては、院内の使用中点検(ラウンド)を行い、異常の早期発見・対処に努めています。
認定資格
・透析技術認定士
・3学会合同 呼吸療法認定士
・心血管インターべンション技師(ITE)
・体外循環技術認定士
・消化器内視鏡技士
・医療機器情報コミュニケータ(MDIC)